夢は自分スタイルで長く続けること

家庭料理教室「Relish」主宰 石井美音さん

インタビュー連載 第4回

今月のサロネーゼは、大阪市内で家庭料理教室「Relish」を主宰する石井美音さん。 旅を愛する石井さんが世界各国で学んだ料理や和食、パンやお菓子など、アットホームな雰囲気のなか楽しみながら本格的に学べると評判を呼び、レッスンはいつもにぎわっています。 7月末に開催されたレッスンに伺った模様と石井さんのインタビューを4回にわたりお届けします。 最終回は、イタリアで得た大きな意識の転換のお話や、お教室運営で心がけていること、これからの夢を伺ったインタビュー後半です。

掲載日:2016/8/29(月)

石井美音さん

石井美音さん

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人生にとって大切なもの


――イタリアへの料理留学は意識の大きな転換になったのですね。

石井さん  そうなんです。行ってみて初めて、「私は今まで何を追いかけていたのだろう」と思いました。

それまで猛烈に働いてきて、仕事やお金が優先というか追い立てられていたというか・・。営業でしたので、頑張った分お給料に反映されるので、それが評価のように思っていた時期もありました。女性で初めて役職にも就き、「もう無理かも」と思いながらも、周りから「頑張れ!」と言われて無理に頑張っていたのかもしれません。

イタリアで、週末に家族と過ごす時間や一緒に囲む食卓をとても大切にする生き方を見て、人間にとってどちらが大事かを考えさせられました。
それまで「私は一生結婚しないだろうな」と思っていましたが、家族っていいな、結婚しよう!そしてこんな風に暮らそう!とすっかり考えが変わって帰国しました。その時決まっている人はいなかったのですが(笑)


石井美音先生1

帰国後すぐに教室を開始。「私に色んな学びを下さる、素敵な生徒さんに恵まれて幸せです」


――それは大きな意識の転換でしたね!
帰国後にはすぐお教室を始めたとのこと、何か事前に準備したことなどありましたか?


石井さん  留学する前に教える練習を兼ねて知人を対象にレッスンを始めていましたし、帰国したら本格的に開始しようと思い、ホームページも事前に立ち上げていました。

実は、「結婚しないだろう」と思っていたので、交通の便がよいこのマンションを既に買っていたんです。ですので開催できる場所はあるわけで、道具を少し揃える程度でした。あと、会社を辞めるときに同僚からいただいた餞別でステンレスの調理台を購入しました。
もうだいぶ古くなったきたのですが、思い出の品なので大切に使い続けています。

――しっかり計画して行動なさったのですね。

石井さん  会社を辞めてこの仕事で生きていくと決めましたから、やるしかないです。万一、一円も稼げなくてもどれくらいの期間生活できるかシュミレーションもしていました。
もしも教室がうまくいかなかった場合、いざとなったら、会社に頭を下げてまた入社させてもらうことも覚悟していました。それもあって、30代前半で会社を辞めこの道を選んだということもあります。
きっと40代以降だったら、その勇気と状況はないかもしれないと思っていたので。


ブレない軸を持つ


――しっかり人生計画があり素晴らしいですね。お教室を始めてみていかがでしたか?

石井さん  おかげさまで、一度もお金をかけて集客をしていないのですが、多くの方にお越しいただいています。
ホームページやブログを見た方、あとは口コミやご紹介が多いです。

最初の頃は、色んな生徒さんにリクエストや意見を頂いたり、また他の教室でのお話を聞いたりするにつけ、メニューのセレクトや教室のスタイル等を迷ったものですが、1年くらいしたら、「私は私のスタイルでいこう」と思えるようになりました。

例えば、使う器やカトラリー、クロスにしても、超高級なものではなく、生徒さんが気軽に購入できるような価格帯のものを使ったり、テーブルの演出などもあまり過剰なものでなく、気張りすぎない、生徒さんがご自宅でもすぐにアイデアを採り入れやすいように、と考えています。また旅先で購入したものをご紹介することも多いです。

使う食材もスーパーなど身近なところで買えるものばかりです。時々珍しいものを使うこともありますが、そのときは必ずどこで買えるか、いくらくらいかをお伝えするようにしています。
生徒さんたちがおうちでお料理をしてくれることが目的なので、そうしていただきやすいように提案する。それが私のスタイルだと軸が持てました。


石井美音先生2

白が基調の快適なキッチン。レッスンはお家で作りやすいメニューと真似したくなるアイデア満載


――ブレない軸は大切ですね。
お教室を続けてきて良かったなと思うことはありますか?


石井さん  生徒さんとの新たなご縁が多いことに一番感謝しています。
私に色んな学びを下さる、素敵な生徒さんに恵まれて幸せです。

――レッスンやお教室の運営で心がけていることはどんなことでしょう。

石井さん  生徒さん一人一人の知識やレベルに合わせて説明することと、それぞれの目を見て伝わっているかどうかを確認しています。

そのほか、平等ということも大切にしています。お話が好きな方、苦手な方、どちらもいらっしゃいますが、苦手な方も会話を楽しんでいただけたり質問しやすい雰囲気を作るように、また、最近はフェイスブックやインスタグラムなどにアップする方も多いので、毎回量なども含めお料理が変わらないようになど、毎回のレッスンが同じ質であることも心がけています。

――レッスンを拝見していて、とても和やかで居心地がよい雰囲気でした。それを作り出しているのは先生の細やかな心配りだと感じていました。

石井さん  ありがとうございます。できるだけ興味をひいてもらうために、話題のいろいろな引き出しを用意できるようにしています。

――終了後の洗い物は先生がしてくださるのですね。

石井さん  はい、試食後はそのままでお帰りいただいています。少し前にキッチンをリフォームして食洗機をつけ、5人分の食器を一度に入れることができるのでとても便利になりました。

――白を基調にしたクリナップのキッチン、とても爽やかですね。

石井さん  いろいろ迷いましたが、白にしました。以前は袖壁があり、調理の手元を生徒さんが見えにくかったので取り払ってオープンにし、吊戸棚も思い切って取りました。その分収納が心配でしたが、新しいキッチンは収納スペースがたっぷりで、他の部屋のものも持ってこられるくらい。
とても助かっています。


「一生の仕事に出会えた」


――お教室主宰者として大切なことはどんなことだと思いますか?

石井さん  長く通っていただくには、私自身が常に勉強して常に新しいことを提供していかないといけないと思っています。料理のことだけではなく、生徒さんたちがここにきてくださるメリットの一つとして、暮らしのアイデアや旅行の情報など、毎回何か新しいことを提供できる、そんな好奇心とそれを伝える力が必要だと思います。

ここでいろいろな情報が行きかって、生徒さん同士が意気投合して仲良くなってくださることがよくあり、とても嬉しく思っています。ある生徒さんがここで仲良くなった生徒さんに会社の方を紹介して、結婚につながったこともあるんですよ。

――教室に通うことで人生の豊かさが増えるかのようですね。料理を中心に縁が広がること、とても素敵だと思います。
ところで今も勉強し続けていることはありますか?


石井さん  旅行先では必ず現地の学校や教室、または家庭で料理を学ぶようにしているほか、興味のあることは常に学び続けています。
また国内でも昨年はずっと興味のあった発酵マイスターの資格を取ったり、様々な料理講習なども積極的に受け、インプットの機会を増やすようにしています。


石井美音先生3

「料理は一生の仕事。旅を楽しみながらマイペースで、長く細く続けていきたい」


――最後にこれからの夢や展望を教えてください。

石井さん  これまでのように、マイペースで旅を楽しみながら料理教室を続けていきたいです。一生の仕事に出会えた、と思っていますし、定年のない仕事ですから、細くでも長く続けていきたいです。

――お料理の先生という仕事は、定年がないし、年齢を重ねれば重ねるだけそれが魅力になっていく素敵なお仕事だと思います。これからも素敵なレッスンがたくさん展開されそうですね。
今日は貴重なお話をありがとうございました!


石井さん  こちらこそありがとうございました!


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お話を聴いて感じたのが「自然体」と「責任感」という言葉。相反するようですが、「ご自分にとって幸せな働き方」そして「生徒さんに提供できること」という大切な軸をしっかりお持ちだからこその自然体、そしてそれを継続するためのビジネス視点を含めた責任感。しなやかなバランスがお人柄とお教室の魅力の源泉のように思いました。
JR大阪駅からも徒歩圏内、福島駅すぐの素敵なお教室、ぜひ参加してみてください。

インタビュー・テキスト=窪田みゆき写真=伊藤祐司



プロフィール
石井美音さん

石井美音さん

絵本に出てくるお菓子に憧れ、農家の片隅の台所でフライパンを手にした子供の頃からお料理が大好き。
大学卒業後、広告代理店でキャリアウーマンをすること10数年。
料理研究家の先生のもとで料理を学ぶうちに、やはり料理が大好きな気持ちを諦められず退社、イタリア・フィレンツェへ料理留学。
その後、自宅マンションで少人数制のアットホームな料理教室を主宰しています。
「料理と旅」を愛するため、国内はもちろん、イタリア、スペインなどヨーロッパ各国やアジアを中心に海外で料理を学び、現地のお料理を毎日の食卓に簡単に取り入れられるアレンジを、旅のお話も交えて紹介しています。

サロン情報

家庭料理教室「Relish」

まずは料理を楽しむこと!を目標に、特別な食材がなくても、身近な食材、旬の食材を取り入れることによって、簡単で美味しく、見栄えのするお料理を中心にレッスンしています。
「料理と旅」が大好きなため、国内はもちろん、イタリア、スペインなどヨーロッパ各国やアジアを中心に海外で料理を学び、現地のお料理を毎日の食卓に簡単に取り入れられるアレンジを、旅のお話も交えて紹介しています。
食材はできるだけ、岐阜の実家の農家で作られる安心な食材を採用しています。
また少人数制でアットホームな雰囲気で、ゆっくりとお料理しながら、お話しも交え、楽しい時間を過ごして頂いています。

ジャンル:

家庭料理、日本料理、イタリアン、フレンチ、中華、韓国、スペイン、エスニック、洋菓子、おもてなし

所在地:

大阪府大阪市福島区

ホームページ、ブログ:
http://www.relish-web.jp/

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レシピ

バスク風あさりご飯
バスク風あさりご飯
(4人分)
・米(洗わない) 2合
・玉ねぎ(みじん切り) 中1個
・ニンニク(みじん切り) 1片分
・イタリアンパセリ(みじん切り) 適量

・あさり(砂抜きしておく) 300g
・白ワイン 50cc

・魚のスープ 720cc

・オリーブオイル 大さじ3 ・塩 小さじ1/2弱
・こしょう 適量

作り方
  1. 厚手のなべにオリーブオイルと玉ねぎを入れ、透明になるまでゆっくり炒めた後、ニンニクを入れて弱火で炒める。
  2. 1にお米をいれ、オイルとからめながら炒めたら、温めた魚のスープを回しかけ、塩、こしょうを加えて混ぜ、沸騰したら火を中火の弱火にし、そのままフタをせずに17分間炊く。
  3. 米を炊いている間、別のフライパンにあさりを入れ、上から白ワインをふりかけ、アサリの口が開いたら火を切る。
  4. 炊き上がった2に3を汁ごと回しかけ、イタリアンパセリも加えてさっくりと混ぜたら、フタをして5~10分ほど蒸らして出来上がり。

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