“本当のこと”と“最新のこと”を伝え続けたい

「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」主宰 タカコ ナカムラさん

インタビュー連載 第4回

今月のサロネーゼは、東京都大田区で「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」を主宰し、「一般社団法人ホールフード協会」代表も務めるタカコ ナカムラさん。 食と健康と暮らしと環境を考える「ホールフード(Whole Food)」を提唱して30年近く。 ベジブロス、塩麹、50℃洗い、低温調理、AGEなどもいち早く紹介し、著書も多数です。 今は亡き、安武千惠さんと共に福岡校も開講。そのいきさつは『はなちゃんのみそ汁』と題して出版された中でも紹介され、TVドラマ、映画化もされました。 今回は、2016年12月に開催されたおせち料理講座の模様とタカコ ナカムラさんのインタビューを4回にわたりお届けします。 最終回はスクール開校後の軌跡や運営で心がけていること、などを伺ったインタビュー後半です。

掲載日:2017/1/30(月)

タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

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様々な出来事を乗り越えて


――ドラマのようにろいろな展開を経てホールフードスクールを開校されたのですね。

ナカムラさん  そうですね、いろいろなことがありました・・。自由が丘のスクールは、ある企業からプロデュースを依頼されたオーガニックショップの2階を利用させてもらっていたのですが、なかなか収益が上がらないスクールの状況に退出を余儀なくされ、次の移転先も決まらないうちにクローズすることになりました。

ショックでしたが、再開を望む生徒さんたちの声に立ち上がり、お世話になっている方の事務所の会議室をお借りして再スタートしました。
その後また別のカフェプロデュースの依頼があり、またその2階をスクールとして使用できることに。でもそこも、いろいろな理由で2年ほどで撤退することになりました。

そんなときまた別の方のご厚意で、事務所を借りれることになったのです。
本当に沢山の方々に応援していただいてきました。捨てる神あれば拾う神ありで、タイミングよく助け舟を出してくださった皆さんにとても感謝しています。

――それもすごいお話ですね。応援されることも才能といいますか、素晴らしい力だと思います。


タカコ ナカムラ先生1

一回一回を大切に、ひとつでも多く、少しでもわかりやすく、そして楽しく学べるレッスンを。


ナカムラさん  そんな頃「塩麹」の料理本を出したのですが、どんどん広がり、取材の依頼が増え、事務所とスクール、そして撮影のために自宅を駆け回ることになりました。
忙しいのはありがたいことですが、でもスタッフとあわただしく顔を合わす程度の時間しか取れず意思疎通が難しくなりかけてしまい、これではいけない!と思ったんです。

これが人生最後のチャンスかもしれない。ホールフードを伝えるために、生徒さんに便利で、スタッフも働きやすくて、キッチンスタジオもあり事務局もおける場所を作りたい、勝負をかけるのはいまだ!と決心して、不動産屋をめぐり、そしてここに出会い、自前のスタジオを開くことができました。
2011年、ちょうど東日本大震災が起こった年です。

順調な滑り出しとはいえず、生徒さんの募集もままなりませんでしたが、被災地の状況や、農業や漁業、畜産などの生産者さんのことを思うと、たべものを生み出すその環境を守っていくためにも、今こそホールフードを伝えていかねば、と強く思いました。

――そうだったのですね・・。沢山の出来事を乗り越えていらしたこと、尊敬します。


食材選びと同じくらい、調理道具選びは大切


――レッスンを拝見していて、食材はもちろんですが、調理道具も厳選していらっしゃると感じました。

ナカムラさん  鍋や包丁など、調理道具はとても重要だと考えています。
例えば鍋は、食べ物と化学反応を起こさないものであることが大切です。私は昔から”鍋フェチ”で様々な鍋を使って研究してきました。良い鍋は高いのでお鍋貧乏でした(笑)。
少量の水で調理できて保温性、熱伝導がよいものを探し続け、いまは「サラダマスター」の鍋を使っています。鍋選びは食材選びと同じくらい大切です。

包丁も、京都の有名な包丁屋で長年修業をし、いまは「食道具 竹上」の包丁コーディネーターの廣瀬 康二さんに学んで選んだものを使っています。マスターコースでは「包丁の研ぎ方選び方」の講義もしていただいています。

生徒さんにはきちんとお料理をできるようになっていただきたいので、納得したものを用意しています。調理道具で確実のお料理の味が変わりますから。


タカコ ナカムラ先生2

鍋、包丁、まな板、器も含め、調理道具も厳選したものを用意。料理の基本のありかたも学べます。


――まな板はヒノキなのですね。

ナカムラさん  はい、良い包丁を使うからには、包丁を傷めないためにも、まな板は木製です。あたりが全然違います。

――そのほか、保存容器、器、浄水器、食器を洗う洗剤など、料理に関わるモノは全て理由があって選択していらっしゃる。

ナカムラさん  そうです。食材だけ安全・安心なものを選ぶのではなく、同じくらい道具も、そして、食材を育む環境のことも考えて選ぶことが大切だと思います。

――まさにホールフード&ライフスタイルが学べるのですね。


いつか、豊かな環境の中でスクールを


――現在は、福岡や長崎、高崎でもホールフードスクールが開校されているそうですね。
福岡校は、TVドラマや映画にもなった、「はなちゃんのみそ汁」の主人公のはなちゃんのお母さん、安武千恵さんの熱意で誕生したとか。


ナカムラさん  2007年に千恵さんに出会ったのですが、ホールフードを学びたいと言ってくれ、当時すでにガンを患っていたにも関わらず、驚くほど精力的に動いて生徒さんを集め準備をしてくれました。

千恵さんは「ホールフードは地球を救うと思う」と言い、たくさん夢を語ってくれました。彼女の熱意にどれだけパワーをいただいたでしょう。
33歳という若さで旅立ってしまいましたが、はなちゃんだけでなく次の世代に安全な食と豊かな環境を残したいという千恵さんの思いに応え続けると決め、いまもほぼ毎月福岡に通っています。

――つい価格やパッケージでモノを選んでしまいがちですが、買い物は投票と一緒ですね。その一票がどうまわりに影響を与えるかを考え、選択軸を持つことの大切さを痛感します。
本当に様々な体験を重ねていらっしゃいましたが、長年活動を続けるうえで心がけてきたことはありますか?


ナカムラさん  向学心を持ち続けること、常に国内外の最新の情報を得ることを心がけてきました。本を読んだり講演を聴きに行ったりはもちろんですが、ネットの情報に頼りすぎず、自分の足で調べ、人と直接会うことも大切にしてきました。

食の世界の研究は日々進化していて、これまでの”常識”が常識でなくなったり、間違っていた、ということも多々あります。時代も変わり、人々のライフスタイルも変わり、例えば、必要なエネルギーや栄養価など、今と昔で違うこともあります。
いつまでも、”昔習ったこと”が正しいことばかりではありません。常に最新の情報を得る努力をしなければなりません。

そうして得た”最新のこと”と”本当のこと”をわかりやすく伝えることが、私の仕事でもあると思っています。

スクールに関しては、来てよかったなと思っていただけることを目指して、常に生徒さんの立場にたって考えるようにしてきました。


タカコ ナカムラ先生3

「いつか、ホールフードをより深く体感し理解できる、豊かな自然環境の中でスクールをやりたい」。


――全国の素晴らしい生産者さんたちや各界の専門家との太いパイプや熱い信頼も、そうした「直接会って話を聞く」「研究する・深く学ぶ」「最新の情報をわかりやすく発信する」という姿勢への共感のあらわれかもしれませんね。
最後に、これからの夢や展望を教えてください。


ナカムラさん  これからもホールフードを伝え続けていきたいです。そしていつか、豊かな自然の中でスクールを開きたいです。いまは都会のまんなかですが、豊かな自然の中で学んでいただけたら、よりホールフードの理念が伝わり、理解が深まると思うんです。

――きっと叶うと思います!食も暮らしも環境も、まるごと考えるホールフードの考え方、これからもたくさんの方に広がりますように。今日はありがとうございました!

ナカムラ先生  こちらこそありがとうございました!


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お話していてずっと感じていたのが、清々しい、という言葉。自分のためだけではなく、まわりのこと、次世代のことを考えて日々選択し暮らすことを自然体で楽しんでいらっしゃり、ぶれない軸にかっこよさを感じました。
知ればきっと食も暮らしも環境も、人生も変わるホールフード&ライフスタイル。ぜひスクールに参加してみてください。

インタビュー・テキスト=窪田みゆき写真=原田圭介



プロフィール
タカコ ナカムラさん

タカコ ナカムラさん

一般社団法人ホールフード協会 代表理事
料理家/フードディレクター

山口県の割烹料理屋に生まれる。
アメリカ遊学中にWhole Food(ホールフード)に目覚め発酵食や乾物料理の第一人者として、数多くの商品開発やオーガニックカフェのプロデュースに関わる。
現在、食と暮らしと環境をまるごと学ぶ「タカコナカムラWhole Foodスクール」を主宰。
通信講座(がくぶん)「野菜コーディネーター」「発酵食スペシャリスト」「ホールフード基礎講座」監修。

「塩麹」「50℃洗い」「ベジブロス」の仕掛け人として食のトレンドを発信。業界関係者からも厚い信頼と注目を集めている。
「奇跡の野菜だし ベジブロス」「AGEためないレシピ」(パンローリング)、映画「はなちゃんのみそ汁」(2016.01公開)のはなちゃんの著書「はなちゃん12歳の台所」(家の光出版)ではレシピ監修。
「旨塩麹のもっとおいしいレシピ」(徳間書店)、「50℃洗い」「都市型保存食のすすめ」(実業之日本社)など話題の著書多数。

タカコナカムラWhole Foodスクール
http://wholefoodschool.com/

一般社団法人ホールフード協会
http://whole-food.jp/

サロン情報

「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」

●ホールフードとは?
ホールフードとは、もともと皮も根っこもまるごと食べる「全体食」から生まれた言葉です。タカコ・ナカムラホールフードスクールでは、この言葉をもっと広い視点でとらえなおして、食と暮らしの提案をおこなっています。
日々の食は健やかな生活を送るための要です。ですから、野菜や肉や魚・卵・乳製品は自然な方法で育てられたものを選ぶことが必要です。そして、その素材を本来の製法でつくられた調味料を使って調理し、命ある食べ物に感謝しながらいただくことが大切と考えています。

●「豊かな暮らし」とはなんだろう?
ホールフードスクールでは、安全なものを食べることだけではなく暮らしを「まるごと」考えていきます。たとえば農業を応援することや、日々使う洗剤がどこへ流れていくのかを考えることも自然を守ることにつながります。
食も森も海もぜんぶつながっている。「食」とつながる「暮らし」・「農業」・「環境」全般について、「まるごと」学んでみませんか?

所在地:

東京都大田区

ホームページ、ブログ:
http://wholefoodschool.com/

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レシピ

叩きごぼう
叩きごぼう

・ごぼう 2本
・米酢 少々

<胡麻の合わせ酢>
・白煎り胡麻 大さじ6
・メイプルシロップ 大さじ1
・しろたまり 大さじ2
・米酢 大さじ2

作り方
  1. すり鉢で煎り胡麻をすり、その他の調味料を加えて合わせ酢を作る。
  2. ごぼうは、泥だけ洗い落とし、皮つきのまま沸騰したお湯に米酢を少々いれてボイルする。熱いうちに綿棒でたたき、5センチの長さに切る。
  3. ごぼうが熱いうちに、1で和える。
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