人と情報が集まる文化の発信地

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」主宰 後藤初美さん

インタビュー連載 第2回

今月のサロネーゼは、東京都杉並区にある緑に囲まれた住宅街で、フレンチスタイルのお料理とお菓子、食のフランス語を学べる教室「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」を主宰する後藤初美さん。 20回以上の渡仏経験のある後藤さんは、本場のレストランで味わった数々の美食、ホームステイ先で出された温かくてほっとする家庭料理など、様々な食体験を重ねてきました。 学べば学ぶほど、食べれば食べるほど感じるフランス料理の奥深さを、もっと多くの人に知ってほしいという思いから、お教室には様々なレッスンが用意されています。 今回はその中から基本のフランスの家庭料理のレッスンと、インタビューを4回にわたりご紹介します。 第2回目はレッスンレポート後半です。

掲載日:2017/8/7(月)

後藤初美さん

後藤初美さん

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色とりどりの食材が並べられた調理台はまるでマルシェ


いよいよ実習のスタートです。

用意された野菜は、ゼブラ柄の茄子、黄色いズッキーニ、トマト…と色とりどり。
完成された料理の色のバランスを考えてセレクトされたそうです。
またお知り合いや契約農家さんから獲れたて野菜を送ってもらっているので、鮮度も抜群!


後藤初美先生1

丁寧なレシピと指導で、ご自宅に帰ってからも迷わず再現できます


まずは野菜を切っていきます。

玉ねぎのみじん切りなど、誰でもできるけど少し面倒なことは後藤さんご自身が受け持ちながら、生徒さんみんなにまんべんなく役割を振り分けます。
全体に目を配り、野菜の切り方やサイズなど丁寧に指導します。
特にメイン料理の野菜は“3mm角”の細かいさいの目切りに。

続いて、メインの料理の肉の準備です。

暑い時期は、極力火を使う時間が短い献立にしたいもの。
ところが今回の牛肉のドーブは煮込料理・・・。

でもご安心を!

今回は薄切り肉を使うことで、時間をかけずにあっという間に仕上げていきます。
そのために野菜も早く火が通るように厳密に細かく切っていたのです。

調味料は、フランス等現地で仕入れてきたものを使います。

例えば、パッケージにフラミンゴが描かれたカマルグの塩。
カマルグは、フランス南部プロヴァンス地方の南にある広大な湿地帯。
ヨーロッパでも有数のフラミンゴの飛来地であり、フランスで唯一の水田では稲作も行われているそうです。
(たまに日本でも輸入食材店等で見かける商品ですが、なぜフラミンゴの絵なのか謎が解けました! )

ちょっとした技できれいに盛り付けられた料理の仕上げには、プロヴァンスのオリーブオイルにドライトマト、そしてトマトパウダー。
お料理に本場の香りを添えて完成です。


ここは南仏の街角のレストラン!


食卓にはプロヴァンスの器や、バスク地方で有名なシャルキュトリー屋で購入した豚型のカッティングボードが並べられ、爪楊枝もスペインバルで見かけるピンチョス用の平たい串が使われます。

「かんぱーい!」

希望者はプロヴァンスのロゼワインで、その他の方はハーブとドライフルーツを使ったロゼ色のお茶で乾杯です。


後藤初美先生2

ワインとお料理で彩られた食卓で会話も弾む様子はまるでレストラン


生徒さんが乾杯の飲み物と前菜を楽しんでいる間に、後藤さんはメインのお料理を仕上げて盛り付けます。

今回は取材班もお料理を試食させていただきました。

アクラは、甘塩鱈の良い塩加減。ワインだけではなく、ビールのおつまみにも最適です。カイエンヌペッパーのピリ辛がアクセントです。小さめに成型され、見た目にもかわいらしい一品です。

たことセロリの自家製タプナードサラダは、まず見た目がお洒落!セルクルを使って盛り付けると、一気にお店で出されるような料理に変わります。
たことセロリの色を活かすためにグリーンオリーブを使ったタプナードは、味も見た目も優しく、様々なお料理に使えそう。

メインのオリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブは、たった15分の煮込時間とは思えない程、野菜と牛肉の旨みが凝縮された逸品。オリーブの塩味が効いています。

デザートにはリヨンでしか買えない有名店のチョコレート、お土産にバスク地方エスプレット村の爽やかな辛味が特徴の唐辛子が効いたチョコレートが配られました。

太陽の恵みを受けた食材を使った、味わい豊かな試食を楽しみ、後藤さんの美味しい旅の話を聞いて、生徒さん達は大満足の様子です。


好奇心を刺激する豊富なレッスン内容


このような後藤さんの料理教室に通っていると、実際に現地に行ってみたくなる人は多いはず!

・・・という人達のために用意されているのが、「バスクを食で巡る旅」

海外の田舎の旅は、なかなか行きづらい場所であったり、ホテルも予約サイトには登録がなかったりと、旅のハードルが上がります。
そこで後藤さんは、年1回フランスとスペインのバスク地方を美味しく巡るこだわりの旅を企画し、生徒さん達とご一緒されています。
ホテルやレストランは、後藤さんお馴染み&お勧めのところを直接連絡して予約してくださるので安心!
旅行代理店にはない、特別なグルメ旅のプランにリピーター続出です。

でもフランス語が分からないから心配。

・・・という人達のために用意されているのが、「フランス語教室」。

「ビストロメニューABC」「パリ街歩きとショッピング」の2コースのレッスンが用意され、レッスンの後にはランチも付きます。

また、中華中医薬学会認定国際薬膳調理師の資格もお持ちの後藤さんは、「フレンチ×薬膳」のレッスンも開催しています。
中医学の栄養学である「薬膳」は、中国料理だけでなく全ての料理にあてはまる食養生の理論だそうです。後藤さんのレッスンでは、薬膳料理をフレンチで表現し、身近な素材を使ったヘルシーで美味しい、ワインにも合うメニューを紹介しています。


後藤初美先生3

ガイドブックやレシピ本には載っていない魅力を伝える豊富なレッスン


どのレッスンも根底にあるのは、「料理は小さな工夫やひと手間で、見違えるように美味しくなること。そしてその小さいけれど、とても大切なポイントを皆さんに伝えたい、楽しみながら味わってほしい」という後藤さんの思いです。

食はその国の文化や歴史を知るもっとも最適な手段の一つ。
正しく深く知り、味わうことで、その国や国民に対するイメージも変わります。

遠いあこがれの地だったフランスも、後藤さんから本やネットの情報からは知ることができないお話をうかがうことで、ぐっと身近なものに感じられるようになります。
そして深く知ったその先には真に尊重できる文化が見えてきます。
後藤さんのお教室は、新しい発見が詰まった文化の発信地でした。

次回はインタビューの前半部と、お教室開催情報をお届けします。
どうぞお楽しみに!

Q&A人気サロネーゼに7の質問 Question

サロン/教室を開設した年月(例 2000年12月)
2010年9月にスタートしました。但し、その前身として1996年から2003年まで友人と紹介限定、週末のみのお菓子教室を開いておりました。

サロン/教室名の由来は?
ル・プティ・フールの「フール=Four」はフランス語でオーブンのことです。
家庭料理を含むフランス料理では、オーブンを上手に活用して料理を仕上げます。ご家庭にある小さなオーブンでもできること、作られるものがたくさんあることを知っていただきたくこの名をつけました。
また、プティ・フールは食後に出てくる小さなお菓子のことですが、これは昔大きい窯のオーブンの火を消した後に残った火で小菓子を焼いていたことからついたそうです。
プティ・フールとして出される可愛らしいお菓子が好きなことも理由のひとつです。

どんな生徒さんが多いですか?
美味しいお料理をよくご存知でご自身でも作りたい、作っているという方、また健康志向でありながらグルメな方が多いです。
皆さん情報通で積極的、自宅ですぐに復習します、という方も少なくありません。
年代的には40代以降がほとんどで、お仕事や家庭が充実してきちんと自分自身を持っている方が多い印象です。
中にはたくさんの料理教室に通うプロ顔負けの方や、別分野での食のプロもいらっしゃいますが、とても謙虚でいらっしゃいます。

レッスン情報(開催頻度やクラス内容、料金、定員など)
フレンチスタイルの家庭料理クラスは年11回、月替わりメニューで月3~4回開催。お菓子レッスンは年に7~8回。フランス語は初級、中級それぞれ月1回開催。定員は6名。ぎりぎり7名まで可能です。
料金はお料理が大体5,500円~6,500円。ワイン付きはプラス1,000円。お菓子も同程度。フランス語はコース設定なので初級の場合6回1コース32,400円でテキストとランチ付きです。

今も勉強していることはありますか?
料理については単発セミナー等に参加して、常に新しい技術や素材を学ぶようにしています。
フランス料理に関する教養セミナーも同様です。
フランス語は今は学校に通っていませんが、フランスの料理雑誌やサイトなどで常に生きたフランス語に触れるよう心がけています。

サロン/教室主宰者に必要だと思うことは?
生徒さんを大切にすること。 そのためにきちんと根拠のある良し悪しをお伝えすることが必要だと思います。

初めて通ってみたい方へ、申込方法や持参するものは?
入会金なし、一回完結型レッスンがほとんどですのでどうぞお気軽にいらしてください。
お申し込みは、メールにてお願いしております。定型フォームがないのですが、お申し込みくださる皆様が「フランス好きで・・・」「フランスで食べた×××が食べたくて・・」などと書いてくださるメッセージが嬉しくて、アナログなお申し込み方法とさせていただいております。
レッスン時には、エプロン、ハンドタオル、筆記用具をお持ちください。食いしん坊の皆様のご参加をおまちしております!



インタビュー・テキスト=阿部麻里子、窪田みゆき写真=原田圭介



プロフィール
後藤初美さん

後藤初美さん

東京杉並区の、フレンチスタイルの家庭料理・お菓子・食のフランス語レッスン、フレンチx薬膳のサロンです。
敷居が高いと思われがちなフランス料理を家庭でカジュアルに楽しんで頂きたいとの想いで始めました。

子供の頃からフランス料理&お菓子、フランス、語学に興味を持つ。
短大卒業後はOLとしてメーカーに勤務。外資系ホテルを経て、大手企業に役員秘書として勤務する傍ら、週末や休暇を利用してスクールやプロフェッショナル向けフランス料理コースに通い、料理・製菓の腕を磨く。また、毎年テーマを決めてフランスの各地方を巡り、郷土色豊かなワイン、料理、お菓子を食べ歩く。通算20回を超える渡仏歴を見込まれ、グルメ会、ワイン会などの企画、コーディネートはもちろん、フランスを旅する人のための観光&グルメツアープランニングの依頼も多数受けるようになる。
1995年から始めたお菓子中心のサロンを発展させ、2010年秋より、自宅サロンLe Petit Four(ル・プティ・フール)として、本格的に料理家&フランス食文化研究家としての活動を開始。焼き菓子、フランス家庭料理、易しいフランス語(ビストロコース/パリ街歩きコース)など個性的な講座の他、ホテルでコンシェルジェとして働いた経験を生かし、フランス美食の旅のコーディネーターとしても活躍の場を拡げている。

■資格
一般社団法人日本ソムリエ協会 ワインエキスパート
NPO法人チーズプロフェッショナル協会 チーズプロフェッショナル
中華中医薬学会認定 国際薬膳調理師
特定非営利活動法人日本フード・コーディネーター協会認定フード・コーディネーター
豆腐マイスター
日本ソムリエ協会ワイン検定講師

■著書
「発酵塩レモンのヒミツ」永岡書店

お料理、お菓子、フランス語のプライベートレッスンも随時お受けしております。
お問い合わせはどうぞお気軽に♪

ご質問は直接以下メールアドレスまでご連絡頂くとよりスムーズです。
hatsumi.goto@gmail.com

サロン情報

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」

Le Petit Four 小さなオーブン、大きなよろこび

サロンの名前、Le Petit Fourには二つの意味と願いをこめて名付けました。

プティフール(*複数形です)とは、食事の後に出される小菓子のこと。
お料理の終わった後、火が残ったオーブンで焼いた小さなお菓子が始まりだそう。

フランス語でfourはオーブンの事でもあります。家庭にある小さなオーブンからもさまざまなお料理やお菓子を作る事が出来ます。

フレンチ=大変、難しそう、おうちで作れない、そんなイメージががらっと変わるような、手軽でヘルシー、何より美味しいお料理をどんどん紹介していきたいと思っています。

またフランスへの旅行を更に楽しめるようなベーシックなフランス語とメニュー、ショッピングにフォーカスしたユニークなレッスンも開催しています。今度の旅が美味しくて満足になるよう応援致します。

ジャンル:

家庭料理、フレンチ、薬膳、スペイン、エスニック、健康食、洋菓子、ワイン、チーズ、おもてなし

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、男性参加OK、少人数制(6人以下)、予約制、各種イベントあり、お酒の提供あり

所在地:

東京都杉並区

ホームページ、ブログ:
http://www.hatsumi-823.com

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レシピ

オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
(4人分)
・玉ねぎ 中1/2個(100g)
・にんじん 小1/2本(60g)
・セロリ 1/3本(40g)
・グリーンオリーブ 40g
・オリーブオイル 20cc
・にんにく 1かけ
・白ワイン 200cc
・水 400cc
・チキンブイヨン(粉末) 大さじ1
・フォンドボー(市販小分け品) あれば15g
・牛もも肉薄切り 300g
・塩胡椒 少々
・薄力粉 少々
・ローリエ 1枚
・タイム 2本
・ズッキーニ 小1本
・なす 1cm厚×4枚
・ドライトマト (あれば)千切り少々
・タイム少々

作り方
  1. 玉ねぎ、にんじん、セロリ、オリーブは3mm角程度の細かいみじん切りにする。にんにくは皮と芯をとり、潰す。
  2. 牛もも肉は軽く塩胡椒して、一枚ずつ端から巻いて楊枝で留める。薄力粉少々をまぶす。
  3. ズッキーニは1cm厚さの輪切りにする。
  4. 厚手の鍋ににんにく以外の野菜とオリーブオイルを入れ、弱火でじっくり焦がさないよう炒める。
  5. 白ワイン200ccを加えてアルコールを飛ばし、にんにくを加える。水400cc、チキンブイヨン、フォンドボーを加えて沸騰させ、弱火にする。ローリエ、タイムを加える。
  6. 牛もも肉の周りを油を少々しいたフライパンで焼き、4.に加える。
  7. 同じフライパンに油を足して輪切りのズッキーニを両面焼いて鍋に加える。
  8. 最後になすをじっくりと柔らかくなるまで両面焼く。(*鍋には加えない。)
  9. 15分ほど煮たら火を止め、蓋をしてしばらく置く。必要であれば塩少々、白胡椒でアセゾネする。
  10. 器に焼いたなす、煮込んだ肉を載せて煮込みソース、ドライトマト千切りとタイムを添える。
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