師の思いを胸に

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」主宰 後藤初美さん

インタビュー連載 第3回

今月のサロネーゼは、東京都杉並区にある緑に囲まれた住宅街で、フレンチスタイルのお料理とお菓子、食のフランス語を学べる教室「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」を主宰する後藤初美さん。 20回以上の渡仏経験のある後藤さんは、本場のレストランで味わった数々の美食、ホームステイ先で出された温かくてほっとする家庭料理など、様々な食体験を重ねてきました。 学べば学ぶほど、食べれば食べるほど感じるフランス料理の奥深さを、もっと多くの人に知ってほしいという思いから、お教室には様々なレッスンが用意されています。 今回はその中から基本のフランスの家庭料理のレッスンと、インタビューを4回にわたりご紹介します。 第3回目は後藤さんご自身がフランス料理やお菓子を習った時のお話をうかがったインタビュー前半です。

掲載日:2017/8/21(月)

後藤初美さん

後藤初美さん

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フランス(特に革命時代)に思いを馳せる少女時代


――後藤さんのお教室ではどのようなレッスンを受けられるのでしょうか?

後藤さん  料理は、フレンチスタイルの家庭料理のクラスと、お菓子のクラスがあります。
その他にフランス語のレッスンがあり、初級と中級それぞれ月1回開催しています。
定員は基本は6名で、7名までは可能です。

――語学も学べる料理教室は珍しいですよね。
フランスに住んでいらっしゃったのですか?


後藤さん  いえ、フランス語は学生時代に第二外国語として習い始めました。


後藤初美先生1

経験に基づく後藤さんの楽しいお話で、お料理も語学も身に付きます


――日本で習得されたのはすごいですね!その情熱や動機が気になります。

後藤さん  子どもの頃から語学が好きで、夢は通訳でした。
もうひとつ好きだったものが・・・

それは『ベルサイユのばら』です(笑)!

ですのでフランス革命時代の本は読み漁りました。そのうちにフランスという国自体にも興味を持つようになりました。

――名作漫画の『ベルサイユのばら』からフランスに興味や憧れを持たれた方はたくさんいらっしゃいますよね!

後藤さん  私は学生時代に地元の広島から上京したのですが、今まで知りたかったことが東京には溢れていました。
お菓子の展示会に出かけたり、大規模な書店でレシピ本を探したりと、どんどん自分の知識欲を満たしていきました。

その後そのまま東京で就職します。
元々食べることが好きだったので、会社員時代には会社の仲間と食べ歩きをスタート。積極的に幹事も引き受けて、様々なレストランに食べに行きました。


もっと知りたいフランスの文化


――その頃からお料理をすることも好きだったのでしょうか?

後藤さん  元々はお菓子作りが好きで、レシピ本を見て作っては会社の人に配ったりしていました。
時々友人達に作り方を教えることもあったのですが、一度本格的に勉強しようと思ってお菓子作りの教室に通い始めます。

ちょうどその頃初めてパリに旅して色々な面で圧倒されました。英語で話しかけてフランス語で返されたことが悔しくて、帰国後すぐにお菓子と中断していたフランス語を学び始めました。

一つは今田美奈子先生(「今田美奈子食卓芸術サロン」代表)、もう一つは大森由紀子先生(「エートル・パティス・キュイジーヌ」主宰)の教室です。

今田先生からはヨーロッパのお菓子とその歴史、素晴らしい食器を使った美しいテーブルコーディネートや、おもてなしを勉強しました。

大森先生からは地方菓子を学び、お教室が毎年主催しているパリの料理学校「エコール・リッツ・エスコフィエ」での研修ツアーにも参加しました。

お二人ともお菓子やフランスのことに本当に詳しくて、聞くと何でも教えてくださり、お話が尽きません。

また研修ツアーがきっかけで、その後休暇を利用して毎年エコール・リッツ・エスコフィエのお菓子コースを受講し地方巡りをするようになりました。


後藤初美先生2

趣味から始まったお菓子作りが、お教室の原点となります


――お菓子作りがスタートだったのですね!
そこからどのようなきっかけでお料理も学ぶことになったのでしょうか?


後藤さん  大森先生の教室で学んだ、「ガトー・バスク」という地方菓子がきっかけです。
地方菓子ってシンプルな工程で作れるものが多いのですが、それに比べるとガトー・バスクは作り方も凝っていて美味しいんです。

一言でフランス料理といっても様々な地方性や特色があることを知ると、地方料理に興味を持つようになり、お料理もきちんと学び始めることにしました。

学んでみると、お料理もお菓子も背景には必ず歴史や文化があり、人が介在するストーリーがあります。知れば知るほど興味が湧いてそこまで深く掘り下げていくことがすごく楽しくなっていきました。


目の前で繰り広げられるプロの仕事


――お料理はどのようなところで学ばれたのでしょうか?

後藤さん  FFCC(フランス料理文化センターの略称、東京ガス㈱が日本におけるフランス食文化の振興を目的に主にプロ向けにセミナー等を行う)です。

講師はプロの料理人で、自分のお店もお持ちの方もいらしたのですが、間近で見るプロの仕事に圧倒されました。

また講師の皆さんは本当に細部に至るまでいろんなことを教えてくださいました。
例えば、プリンを湯煎にかける時のアルミホイルのかけ方まで丁寧に指導。
「自分が教える立場になった時もここまできちんと教えてあげて」「分からなければレストランまで来たらまた教えるから」とおっしゃるんです。


後藤初美先生3

“教わる”側から“伝える”側へ


――お料理でもお菓子の分野でも数々のプロフェッショナルの方達から思いを託されたんですね。
その中でも心に残る言葉はありますか?


後藤さん  講師の中に闘病の末に亡くなられた先生がいらっしゃるのですが、その方が入院されていた時に私にお電話をくださり、そのときおっしゃった言葉が忘れられません。

「フランス料理はきちんと作れば身体に悪くないし、美味しくて栄養もとれる料理。
こういう健康面に良いことももっと世の中の人に分かってほしいし、あなたにはそれを伝える人になってほしい。
料理を美味しく作ることは大事だけれど、それをどうまとめるか、どう人に伝えるかということも大切なのだから。」

レストランの語源は「快復させる」という意味の “restaurer(レストレ)”と言われています。
入院中の食事は栄養価は考えられていますが、なかなか見た目の美しさまでは気を配れません。
快復を目的とした食事こそ、食欲が湧くような楽しく美しい料理にすべきではないかとおっしゃったことがとても印象的で、料理人の先生ならではの見方にハッとさせられました。

その方の思いを胸に、私も自分の知っていることを出し惜しみすることなく、できるだけたくさんの方に伝えていこうと決意しました。
そして私が厨房で習った、レシピ本からは分からない細かなプロのコツを、教室で伝えたいと思い始めます。


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お料理やお菓子に対して真剣に向き合う後藤さんに対して、プロフェッショナルの方々は思いを託しました。
後藤さんはその思いをどのような形にして生徒さん達に伝えていらっしゃるのでしょうか。

次回は、お教室を始められたきっかけや、これからの夢についてうかがったインタビュー後半をお届けします。どうぞお楽しみに!

インタビュー・テキスト=阿部麻里子、窪田みゆき写真=原田圭介



プロフィール
後藤初美さん

後藤初美さん

東京杉並区の、フレンチスタイルの家庭料理・お菓子・食のフランス語レッスン、フレンチx薬膳のサロンです。
敷居が高いと思われがちなフランス料理を家庭でカジュアルに楽しんで頂きたいとの想いで始めました。

子供の頃からフランス料理&お菓子、フランス、語学に興味を持つ。
短大卒業後はOLとしてメーカーに勤務。外資系ホテルを経て、大手企業に役員秘書として勤務する傍ら、週末や休暇を利用してスクールやプロフェッショナル向けフランス料理コースに通い、料理・製菓の腕を磨く。また、毎年テーマを決めてフランスの各地方を巡り、郷土色豊かなワイン、料理、お菓子を食べ歩く。通算20回を超える渡仏歴を見込まれ、グルメ会、ワイン会などの企画、コーディネートはもちろん、フランスを旅する人のための観光&グルメツアープランニングの依頼も多数受けるようになる。
1995年から始めたお菓子中心のサロンを発展させ、2010年秋より、自宅サロンLe Petit Four(ル・プティ・フール)として、本格的に料理家&フランス食文化研究家としての活動を開始。焼き菓子、フランス家庭料理、易しいフランス語(ビストロコース/パリ街歩きコース)など個性的な講座の他、ホテルでコンシェルジェとして働いた経験を生かし、フランス美食の旅のコーディネーターとしても活躍の場を拡げている。

■資格
一般社団法人日本ソムリエ協会 ワインエキスパート
NPO法人チーズプロフェッショナル協会 チーズプロフェッショナル
中華中医薬学会認定 国際薬膳調理師
特定非営利活動法人日本フード・コーディネーター協会認定フード・コーディネーター
豆腐マイスター
日本ソムリエ協会ワイン検定講師

■著書
「発酵塩レモンのヒミツ」永岡書店

お料理、お菓子、フランス語のプライベートレッスンも随時お受けしております。
お問い合わせはどうぞお気軽に♪

ご質問は直接以下メールアドレスまでご連絡頂くとよりスムーズです。
hatsumi.goto@gmail.com

サロン情報

「Le Petit Four(ル・プティ・フール)」

Le Petit Four 小さなオーブン、大きなよろこび

サロンの名前、Le Petit Fourには二つの意味と願いをこめて名付けました。

プティフール(*複数形です)とは、食事の後に出される小菓子のこと。
お料理の終わった後、火が残ったオーブンで焼いた小さなお菓子が始まりだそう。

フランス語でfourはオーブンの事でもあります。家庭にある小さなオーブンからもさまざまなお料理やお菓子を作る事が出来ます。

フレンチ=大変、難しそう、おうちで作れない、そんなイメージががらっと変わるような、手軽でヘルシー、何より美味しいお料理をどんどん紹介していきたいと思っています。

またフランスへの旅行を更に楽しめるようなベーシックなフランス語とメニュー、ショッピングにフォーカスしたユニークなレッスンも開催しています。今度の旅が美味しくて満足になるよう応援致します。

ジャンル:

家庭料理、フレンチ、薬膳、スペイン、エスニック、健康食、洋菓子、ワイン、チーズ、おもてなし

サロン特長:

初心者歓迎、平日開催、土日開催、お友達同士歓迎、男性参加OK、少人数制(6人以下)、予約制、各種イベントあり、お酒の提供あり

所在地:

東京都杉並区

ホームページ、ブログ:
http://www.hatsumi-823.com

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レシピ

オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
オリーブとハーブ入りプロヴァンス風牛肉のドーブ
(4人分)
・玉ねぎ 中1/2個(100g)
・にんじん 小1/2本(60g)
・セロリ 1/3本(40g)
・グリーンオリーブ 40g
・オリーブオイル 20cc
・にんにく 1かけ
・白ワイン 200cc
・水 400cc
・チキンブイヨン(粉末) 大さじ1
・フォンドボー(市販小分け品) あれば15g
・牛もも肉薄切り 300g
・塩胡椒 少々
・薄力粉 少々
・ローリエ 1枚
・タイム 2本
・ズッキーニ 小1本
・なす 1cm厚×4枚
・ドライトマト (あれば)千切り少々
・タイム少々

作り方
  1. 玉ねぎ、にんじん、セロリ、オリーブは3mm角程度の細かいみじん切りにする。にんにくは皮と芯をとり、潰す。
  2. 牛もも肉は軽く塩胡椒して、一枚ずつ端から巻いて楊枝で留める。薄力粉少々をまぶす。
  3. ズッキーニは1cm厚さの輪切りにする。
  4. 厚手の鍋ににんにく以外の野菜とオリーブオイルを入れ、弱火でじっくり焦がさないよう炒める。
  5. 白ワイン200ccを加えてアルコールを飛ばし、にんにくを加える。水400cc、チキンブイヨン、フォンドボーを加えて沸騰させ、弱火にする。ローリエ、タイムを加える。
  6. 牛もも肉の周りを油を少々しいたフライパンで焼き、4.に加える。
  7. 同じフライパンに油を足して輪切りのズッキーニを両面焼いて鍋に加える。
  8. 最後になすをじっくりと柔らかくなるまで両面焼く。(*鍋には加えない。)
  9. 15分ほど煮たら火を止め、蓋をしてしばらく置く。必要であれば塩少々、白胡椒でアセゾネする。
  10. 器に焼いたなす、煮込んだ肉を載せて煮込みソース、ドライトマト千切りとタイムを添える。
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